第1回 幼児教育における「EQ」と「IQ」(前編)|幼児教育・幼児教材の「まいとプロジェクト」

第1回 幼児教育における「EQ」と「IQ」(前編)

ごあいさつ

この度、「IQ200天才児は母親しだい!」の著者でIQ研究で著名な吉木稔朗先生と、「EQ」概念を約30年に渡り実戦的に現場教育に取り込み多くの成功者を育てている「まいとプロジェクト」のるりる〜先生とで、昨今の幼児教育のあり方や、子育ての方法、一定の時期(臨界期)までにしなければならない教育、さらには育児者(母父親等)への教育、等々、可愛い我が子の「幼児期(胎児期も含む)」にするべき教育(いや、幼児期にしなければ後でしても意味の無いと言ってもいいかもしれない・・・・・)について、このコーナーでこれから対談形式で話しを進めていきたいと思っています。尚、司会や注釈につきましては宮本が担当致します。

はじめに

近年、巷でよく聞かれる“EQ”。
昨今の小学校受験においても、実際にEQテストを実施して子どもの「ある知能」を測るところも出てきています。
「EQって何?」、「IQの次はEQが子どもの知能の尺度になるの?」、「IQとEQとどちらが重要なの?」、等々・・・・・。

「まいとプロジェクト」にも多数の問合せがありました。個別のケースについては返事を差し控えさせて頂いておりましたが、この対談をもって、EQやIQ、更には臨界期等、皆さんの関心の高いテーマについて話し合い、皆さんの我が子の将来の一助に役立てて頂ければ幸いと存じております。

まず冒頭の、EQか? IQか? ですが、これは過去の日本の幼児教育の大きな弊害の1つです。「IQ無くしてEQ無し!」、逆に「EQ無くしてIQ無し!」もまた然りです。
(EQの概念は、ダニエル・ゴールマンの著書『Emotional Intelligence/邦題:こころの知能指数』から来ているが、日本ではEIよりEQで一般的に認知されている。IQとは言わずもがな“Intelligence Quotient”で、日本では一般的に知能指数として認識されている。)

確かに、最近ではIQに関する関心は薄れ、かつて華々しく飾っていた本屋のIQ関連コーナーも今ではすっかりなりを潜めEQ関連コーナーに代わるなど、時代の趨勢を感ぜずにはいられません。と、言ってもEQ関連の本は圧倒的に少ないのが現状です。

しかし、多くの人が勘違いをしているかもしれませんが、「IQ」も、「EQ」も、人間の「知性」の1つなのです。
ただ、IQは容易に指数化出来るのと、驚異的なパフォーマンス(例えば、1秒で本1ページを読めるとか、12×34が瞬時に分かる等々。)に、皆おどろき飛び付きましたが、その後の調査で多くの天才児が疎外されたり、結局普通人に落ち着いた等が分かると、一気に熱が冷めてしまったと言う嫌いがあります。
では、逆はどうか? EQテストのレーダーチャート式の評価で歪み無く高得点を得た人は全員成功者になるのかと言うと、そうでもない。当たり前だが論理的思考力(IQ知能の一部)がダメなら、単なるいい人で終わってしまうでしょう。

そもそも、EQやIQって何なのだろう?

答えは、人間の中核をなす「知性」の一部なのです。
一般的に言う知能やIQ、EQ、運動神経、性格や理性、さらには自我も知性の一部なのです。

次回「幼児教育における EQ と IQ 」(後編)につづく

(EQやIQの正体が、実は知性の一部だと言うことが分かれば、まずは十分です。次回のこのコーナーでは、この知性について、もう少し詳しくお話ししましょう。)

さて、小難しい理論的な話しはここまでとし、実際に多くの子ども達の教育に携わってきたるりる〜先生と、「IQ200天才児は母親しだい!」の著者の吉木先生とで、「自分の才能を開化する」「夢を実現できる」「成功する人生」、等々をテーマとして、ざっくばらんにお話頂きたいと思います。

幼児教育における「EQ」と「IQ」 (前編)

宮本みきお

まず吉木先生にお聞きしたいのは、やはりIQ派ですか?

吉木稔朗先生

私が「IQ200天才児は母親しだい」という本を書いたのは平成2年でした。あの当時はあまりEQという言葉は言われてなかったと思います。しかし、あの本の中に、繰り返し「お母さんの愛情があっての天才児教育です」ということを繰り返し述べてきました。それこそ、EQを育てる教育だったのです。

EQなくしてIQはありません。同様に、IQなくしてEQはありません。どちらも、人間という存在を形成する上で欠かすことのできない一体のものです。ところがどうしても、EQかIQかといった対立的なとらえ方が、過去ずっとなされてきたのではないでしょうか?

「IQとEQのどちらが重要か?」といった議論はあり得ません。
どちらも同じように重要であり、分かつことのできないものです。

宮本みきお

るりる〜先生は、どうでしょう。EQ派ですか?

佐藤るり子先生

吉木先生と同意見です。はっきり言って、どちらも欠くことの出来ない教育だと思っています。

昨今、IQ(脳の知脳の指数)のみを高くしたいという風潮は消えつつあるようですが、幼児の時期に、一点集中型の教育で脳を活性化すると、その部分は確かに非常に高まります。しかし、子どもが成長しやがて小学生になり、他の知識や経験を求められるようになると、平均化しようと働きます。

この一点集中の教育は、日本の教育では、なかなか難しいとされています。例えば、アメリカなどでは天才児のみの集団を作って、他の一般人とは隔絶した社会で生活させることも可能ですが、日本では、「知識さえあれば、社会生活を円滑にこなせなくても大丈夫」「知識さえあれば、生活力がなくても大丈夫」みたいに思う親はいないはずです。
また、EQ(脳の情動の指数)のみが高くて、「協調性や思いやりさえあれば、知識は無くても大丈夫」と思う親もいないはずです。

このように、ご両親も、「どちらか一方が良ければいい!」とは思ってはいないはずです。
幼児教育では、どちらも欠くことの出来ない、大切な知性の一部だと考えます。ですから、運動や情操、知識、社会性、生活力などを総合的に刺激していくことこそが、幼児にはとても大切なことなのです。

教育の中で大切なのは、知識に興味を持たせる時期、社会や生活に興味を持たせる時期を、的確に周りの大人が判断をしてあげるということです。つまり、「環境」を与えてあげるということです。

かつてオオカミに育てられた子どもが発見されるという悲しい出来事がありました。言葉を覚える時期にオオカミに育てられた子どもは、その後、どの様に教育をなされようとも、普通の人間の様に言葉を話せるようにはなれなかったということです。

宮本みきお

お二人ともEQもIQも共に大切だということですね。そして、幼児教育においては、それを教える適切な時期と方法がとても大切なことです。

さて、吉木先生が「IQ200天才児は母親しだい!」を書かれた時代の反応はいかがでしたか?

吉木稔朗先生

当時はIQブームだったこともあり、読者のお母さんからの質問は天才教育の技術的な質問が圧倒的多数を占めていて、その根幹にあるお母さんの愛情のことは二の次のように感じられました。そこで、あるとき若いお母さんに、お母さんの愛情の重要性を説明しようと話しだしました。

「教育とは愛情に基づくもので・・・・。」
するとお母さん、私の言葉をさえぎって、「あら、私にだって母性本能はありますよ」と、きっぱり!

私はお母さんの愛情に基づいた教育は、決して母性本能ではできないと思っています。母性本能は動物にもあります。雉は赤ちゃんを守る為に自分の命をもいといません。敵がやってくると自分がおとりとなって赤ちゃんを敵から守るのです。昨今、幼児虐待が問題になりますが、雉は人間の親のように子供をいじめたり殺したりしません。

人間の愛情なんて動物にも劣るのでは、と反省させられることしばしです。しかし、ではその愛情深い動物が人間を育てられるでしょうか。よく、犬が子猫を我が子として育てているといったことが話題になります。犬は猫を育てられるかもしれませんが、残念ながら人間を育てることはできません。
母性本能では、体を育てることはできるかもしれませんが、心を育てることはできないのです。人間は本能とは違った心を持ち、考え創造し発展し、長く見れば歴史を形成しているのです。動物たちは歴史を形成することはできません。世代交代を繰り返しているに過ぎません。

ですから、お母さんの愛情に基づいた子育てというのは、母性本能に基づいた子育てとは違うということです。それは、赤ちゃんを人間として人間らしく育てるということです。つまり、体の成長のみならず、心(EQとIQ)の成長をなしていかなければならないのです。

宮本みきお

幼児期における、体と心(EQとIQ)の成長は、とても大切なことです。るりる〜先生は、幼児の「成長」には何が大切だと考えますか?

佐藤るり子先生

幼児の成長では、環境が大切です。

子どもは、日々成長する中で、環境がとても重要であり、自分を取り巻く環境の中で生き抜く力を学んでいきます。その環境とは、胎児の時から始まり、出生後のご両親自身の関わりであり、ご両親が選ぶ習い事であり、幼稚園教育、学校教育によるものだと考えます。ですから、我が子の道しるべは、ご両親によって決まります。

よく、『この子の意志が大切!』と言われるお母様方が多いのですが、0才から3才位までの子どもには、そのような意志はまだ育っていません。ですから、ご両親の方針がその子の意志として、いずれ育っていくようになります。自ら学びたい有無の選択をするようになるには、もう少し後になります。ですから、与えられた環境こそが、とても重要になるのです。

幼児(0才〜9才)の教育は、その子の可能性を見つけ出す期間であり、自立心を養う大切な時期です。この時期、脳もまたとても重要な発達を遂げていきます。大脳生理学上では、6才までに成人の脳の約90%が出来上がると言われております。そして大切なことは、刺激(教育)により幼児の脳は飛躍的に発達すると言うことです。ですから、この時期に、子どもの興味や関心を育てる、たくさんの体験学習をさせてあげる、色々な刺激(教育)を与えることが、とても重要になるのです。

宮本みきお

るりる〜先生、「まいと」として何か一例をあげてください。

佐藤るり子先生

幼児の教育にとって、「自分で考える力」を養うことは、とても大切です。
どのような教育が「考える力」を育てるのでしょう。

我が子に考える時間をたくさん与えてあげていますか?

我が子が考えようとする前に、答を導いてはいませんか? これはよくご両親にお聞きしている言葉ですが、考えようとする前に答を導く。。。これでは、考える力どころか自立心すら育ちません。

教室では、子どもが自分の意志を言葉で表せるように、意識して言葉がけを子供たちにしています。これは、4才位から小学校の子供たちに用いている方法の1つですが、物事の決断を自分でするという方法を取ることです。目的意識を持ち、その目的のために、どの様に自分自身が行動するべきかの「考える力」を養う方法です。決してイエスかノーの二者択一の方法ではありません。この言葉がけは、今、自分はどの様に行動をするべきかを言葉で表現することにより、自分の言葉に意志と責任を持つということ、その場の状況判断をしていく力を養うこと、達成感を味わうことを目的としています。この様に、何かの力を育もうとする場合は、その育む環境を作らなくては、子どもは学習をして行くことが出来ません。

宮本みきお

お二人とも「愛情」が幼児教育にとってとても大切だと言うことがよく分かりました。
ところで、吉木先生と言うと、どうしても「IQ200天才児は母親しだい」のイメージが強いのですが、別な本も書かれているようですが?

吉木稔朗先生

「IQ200天才児は母親しだい!」という本のタイトルが故に、技術書と勘違いされている読者の方が多かったので、「母親だからできる驚異の天才教育」という本を書いて、お母さんの愛情ということを強調したのですが、こちらの本の売れ行きはあまりよくないようです。やはり、タイトルというのは重要な要素だと思わされます。
ただ、両書とも技術書ではなく、愛情に基づいた天才教育(技術)のノウハウ書です。

私が天才教育という言葉を口にすると、必ず
「そんな子供の頃から詰め込まなくても」という言葉を耳にします。
しかし、私に言わせれば、詰め込み教育ではなく、赤ちゃんにとっては遊びです。その遊び方を教えているに過ぎません。遊び方の工夫によって天才児になっていくのです。子供の頃から勉強勉強の日々を過ごしなさいといっているのではありません。小学校までは、畑に例えるなら、よく耕し、肥料を施し、豊かな土地にする段階だと思います。その上で、種を蒔けば、作物が豊かに実るのです。種を蒔いて芽が出てから固まった土地を耕すことはできないのです。

幼児脳の右脳と左脳をバランス良く高めて、EQやIQを伸ばす家庭の幼児教育レシピ&幼児教材《 お母さん講座 》について。

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対談者プロフィール

吉木稔朗先生

吉木稔朗先生

神奈川大学法学部法律学科卒。早期教育の友人の死を契機に研究を引き継ぎ、現在、ヨシキ幼児教育研究所主催。主たる著書に「IQ200天才児は母親しだい!」「母親だからできる驚異の天才教育」「天才児を育てた24人の母親」などがある。

佐藤るり子先生

佐藤るり子先生

幼児教育学部卒。幼児教育学部専攻科修了。
首都圏の私立幼稚園教諭を経て、大手民間の幼児教育事業部において講師及び教室長を担当。首都圏エリアの運営及び講師育成並びに教育プログラム開発等を手掛ける。現在、幼児才能開発プロジェクト「まいと」専任講師。

宮本みきお

宮本みきお

立教大学経済学部経営学科卒。経営コンサルタント。大手民間の人材バンク及び人材開発の企業を経て、現在、コンサルティングファームを経営。

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