自我|幼児教育・幼児教材の「まいとプロジェクト」

自我

簡単に言うと…

一般的には、「各個人の自分自身に関する意識または観念(三省堂広辞林)」

詳しく言うと…

幼児教育での自我とは、子どもの発達段階での他者と自己の区別から始まり、反抗期や自立心・自発性の成長を言います。自他の区別がつき始めた子どもには、人見知りの行動が表れ始めます。自主性が順調に発達していれば、2歳位から、反抗期に入り、『イヤイヤ』の言動や行動が始まり、意識や価値観の差はあっても、心の片隅に「独り立ちしたい」という欲求が芽生え始める時期です。これを総称して第一次反抗期と呼んでいます。まれに、現れないケースもあります。この頃から自立心が芽生え始め、何でも自分でやりたがるようになってきます。3歳から4歳位で、多少の自制心と忍耐力が育ち始め、5歳以降順調であれば、自発性が育ってきます。

認知神経科学者澤口俊之教授は、「自我」と「社会的知性」と「感情的知性」は、それぞれ前頭連合野の別の領域によって担われているが、これらの知性は前頭連合野が担う中心的な知性群であるとし、これらの知性群を総称し前頭連合野(前頭前野)の知性として「PQ(前頭前知性)」という概念を提唱した。
PQは、自分の持つ多重知性(言語的/絵画的/空間的/音楽的/論理数学的/身体運動的/社会的/感情的知性)の統括者として、その能力を把握してうまく操りながら将来へ向けた計画を立て、社会関係と自他の感情を適切に理解・コントロールしつつ社会の中で前向きに生きるための知性であると言う。

(PQの働きの例)

  • 他の霊長類は数時間先の時間という制約さえ超えられないが、ヒトは数年先、数十年先を見越して、計画や展望、夢を抱くことができる。
  • ヒトほど自主性や主体性を持っている動物はいない。
  • 幸福感と達成感の中心となる。

(第1回「知性の多重性」、第2回「人間らしさの脳」=前頭連合野、も参照。)

「まいと」な一例

自我の芽生えた子どもの一例です。『自分でする!』と言い、お母さんが出した手を払いのける光景を良く見ます。お母さんとしは、反抗期とは分かっていても、何もかも自分でやってみようとする「自発性」「独立心」の成長の現れだと理解していても、穏やかではいられないようです。特に普段一緒にいる時間の多い母親に対して現れることが多く、2〜3才の子どもに多く見られる姿なのですが、反抗期イコール「我がままで、悪い子」の印象を持ってしまう場合も少なく無いようです。
感情的に、『どうせ、できないくせに!』『だめよ!』などと言いたくなるのも分かるのですが、『できるじゃないの!』『あと一息、応援するヨ』など、その場に適した語彙を探しましょう。子どもの反抗期は短くなり、これが、子どもの自信へと繋がっていきます。言葉掛けや接し方次第で、作業の途中まで手伝ってあげ、最後の部分だけを独りでさせてあげ、『できたね!』と言ってあげることも1つの方法です。

教室のお母様方には、『イライラしたときには、その場で深呼吸をしたり、トイレや違う部屋に行って一呼吸おくと、冷静になれますヨ。』と話をしています。反抗をしながら築かれる「自立心」は、幼児期に土台が作られるものなので、親の重大な責任の一つとして、この「自我の芽生えである自立心」を尊重してあげることが重要です。
大切なことは、子どもの「やりたい気持ち」に任せることです。たとえ自分の力で出来ないような事だと大人が判断しても、「挑戦しよう!」という意欲を認め、その意志を尊重してあげましょう。決して命令、干渉、支配、過保護等はよくありません。子どもの意志を認め、共感をする思いやりのある接し方が大切です。

参考文献

  • 「Emotional Intelligence(邦題:こころの知能指数)」/ダニエル・ゴールマン(土屋京子 訳)/講談社
  • 「幼児教育と脳」/澤口 俊之/文藝春秋
  • 「脳が考える脳」/柳澤 桂子/講談社
  • 「脳の健康」/生田 哲/講談社
  • Newton別冊「遺伝子と脳からみる男と女のサイエンス」/ニュートンプレス。

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