現代の科学では、「人の知性は遺伝と環境によって決まる」と言われています。
つまり、EQもIQも他の
知性*(既出)と同じく遺伝と環境によって影響を受けることになります。
では、何パーセントの割合で知性は遺伝するのでしょう?
カエルの子はカエルなのか?
トンビが鷹を生むことはないのか?
諸説色々とありますが、幼児教育の観点からみて私はあまり興味がありません。
例えば、物理学者の子どもは理数に強く、政治家の家系は政治家になり、スポーツ選手の子どもは運動神経が良く、音楽や美術系の子どもは芸術センスが良い。もし、これが50%の確率で全ての人に当てはまるのなら、人は50%の確率で知性や知能は遺伝する、と言えます。
しかし、実際のところ、我々の回りを見渡してみると一概にそうとも言えないようです。
天才と呼ばれた人の子どもが平凡であったり、ごく普通の夫婦から偉大なスポーツ選手が育ったり、また、音楽家の家系ではやはり代々音楽家となったりとバラバラです。
これは一体どういう事なのでしょう?

たとえ、両親が偉大な音楽的知性を持った演奏家でも、その子どもが音楽に無縁に育てば、当たり前だが音楽的知性を伸ばすキッカケも与えられないので、せっかくの才能も開花するわけがありません。逆に、両親の才能は平凡でも、音楽好きで子どもの時から聞いて育てば音楽的才能が開花する確率がぐーんと上がる。
つまり、私たちは人間である以上、遺伝により知性はある程度は左右されるかもしれないが、残りは環境(教育)次第と言うことになります。
人の知性は「遺伝」と「環境」によって決まるのは、逃れられない現実かもしれません。
人は、無意識のうちに遺伝子を我が子に与えている・・・・・。
しかし、意識的に我が子に環境を与える人は少ないのかもしれません・・・・・。
(子どもの立場からすれば、どの様な遺伝子を持つ親だろうが、両親がいなくては生命を得ることが出来ないわけですから文句は無いと思いますが、生命を得た後の幼児環境については、将来自分が親となり我が身を振り返ったときには考えさせられるかもしれません!?)
さて、前回では、ヒトは発達した大きな脳を持つことが出来るように、素晴らしいシステムを持つことを述べました。
頭部、つまり脳が大きくなってからでは狭い産道を通ることができないので、猿なみの脳の大きさで生まれて、その後に飛躍的に発達していく方法です。
つまり未熟な脳のまま出産し、その後で急速に脳が拡大していくのと併せて、「
臨界期/感受性期*(既出)」という子どもの脳のメカニズムがあると言うことを述べました。
そして、もう1つビックリする事があります。
人類は、生まれた環境から育つ環境に応じて、頭の中の「脳内ネットワーク」を劇的に変化させる、と言うことです。
つまり、、、、、
ヒトで最も良く発達した「
大脳皮質*(既出)」は、「
*ニューロン」という神経細胞から出来ていますが誕生と同時に大量に死滅すると言うのです。この大量死は、脳の領域によっても異なりますが、生後1年以内には実に20〜80%にものぼります。しかも、このニューロンは新たに増えることなく減り続けます。(脳の大きさは爆発的に発達するが、その細胞は急速に消滅していくわけです。)
これに逆行して急速に発達するのが、「
シナプス*(既出)」です。
シナプスは、誕生と同時に急速に形成されていきますが、5〜6歳をピークに今度は急速に消滅していき中学校を卒業する頃には大人並みの密度となり、以後ゆ〜くりと減り続けていくわけです。
つまり、幼児期が、子どもの頭のネットワーク化にはとても重要な時期となるわけです。
ここで、少し
*ニューロンとシナプスについてお話ししましょう。
ヒトの頭の中は、ニューロン(神経細胞)とシナプス(ニューロンとニューロンのつなぎ目)によって、網の目状に「脳内ネットワーク」が構成されています。
いろいろな情報はシグナルとなって脳内ネットワークの中を駆けめぐるが、このシグナルを受け止めるのがニューロンの
*樹状突起という部分で、いくつものニューロンからシグナルを受け取れるように何本もの枝を広げた形をしています。また、ニューロンはシグナルを発信もするので長い手足を持っていて、これを
*軸索と言います。
ニューロンの軸索はどんどん伸びていき、目的とする他のニューロンと出会うとその相手の樹状突起と結びつく。このつなぎ目がシナプスです。
多くのニューロンがシナプスを介してつながることで、ある目的のために働く巨大な脳内回路が出来上がります。
1つ1つのニューロンは数千〜数万ものシナプスを持つので、そのネットワーク網はまさに無限と言えるでしょう。
ところが、このシナプスはせっかく出来ても使わないと(情報がシグナルとなってそのルートを使わないでいると)、やがて消失してしまいます。
つまり、刺激のあるシナプスは強化されるので、情報=シグナルを良く通し、脳の活動が活発となりますが、刺激のないシナプスは消失してしまうので、脳内ネットワークに個人差が出ると言うわけです。そして、そのような変化を最も受けやすい時期が幼児期なのです。
また、このシナプスの繋がりは、繰り返すことで確実な配線となっていくので、適切な幼児教育環境も必要となってくるわけです。
このように、幼児教育(刺激)によってシナプスの数は増え、脳内ネットワークは強化されていきます。つまり、シナプスが多ければ多いほど情報伝達が容易になるので、頭が良い、才能が開花すると言ったことにもつながります。
私たちが、何かを考えている時、何かをしようとする時、頭の中の脳内ネットワークでは、ニューロンはシナプスを介して、この情報=シグナルが猛スピードに駆けめぐっています。
ヒトの知性(知能)が「高い」or「低い」は、まさにこのネットワークの強さに他なりません。
さて、この
*ニューロンの大量死とシナプスの急激な形成とその後の消滅は、一体どういう事なのだろうか?
(頭の良し悪しは、情報伝達する脳内ネットワークの出来に左右されることがお分かりいただけたと思います。次回のこのコーナーでは、人類の進化が勝ち取った脳内ネットワーク形成の仕組みについて分かりやすくお話しします。)
さて、今回も長々と小難しい話しから始まりましたので、さっそく対談の方に入っていただきたいと思います。今回も、長年に渡り幼児教育のリーダーとして現場教育に携わり多くの優秀な人材を社会に送り出したるりる〜先生と、「IQ200天才児は母親しだい!」の著者の吉木先生に、面白い&意義ある対談をしてもらいたいと考えています。